こどものみなさまへ みんな なかまよ:”へいわ”について考える

いわさきちひろ ぼつご50ねん
こどものみなさまへ みんな なかまよ
いわさきちひろ美術館・東京(東京都練馬区下石神井4-7-2)
2024/10/12→2025/1/31
https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/08960/

 20241212日(木)訪問
本展はいわさきちひろ(1918-01974)の絵本やことばを通して、
来館者ひとりひとりがへいわについて考えるというもの。
タイトルはこどものみなさまへ みんな なかまよというものだったけど、
全体的に子どもより大人に見て欲しい展示ではないかと思った。
絵の中の子どもたちは、黒い静かな瞳をこちらに向けて何かを問いかける。
子どもたちに”へいわ”な世界を与えられていますか。子どもたちは安心して暮らせていますか。
どきりとしてしまう。
自分の周りの子どもたちは”へいわ”な世界に暮らしているけど
その外の世界、戦争を行なっている国や貧しい国ではどうだろうか。

ちひろさんは国を越えて、”へいわ”を訴えた人物でもあった。
それを分かりやすく示すのが、ちひろさんの作品でも唯一戦争を扱った絵本
”戦火のなかの子どもたち(1973)”。
これはベトナム戦争時に制作されたもので、ちひろさんはこう語る。
「戦場にいかなくても戦火のなかでこどもたちがどうしているのか、
どうなってしまうのかよくわかるのです。」
「ベトナムの本を続けてやるのも、私はあせって、いましなければベトナムの人は
あの子どもたちはみんないなくなっちゃうんじゃないかと思って・・。」
1918年生まれのちひろさんは、東京での空襲を経験し26歳で終戦を迎える。
そんな自分の戦争体験と、ベトナム戦争で傷つく人々を重ね合わせたのではないだろうか。
いわさきちひろさんの絵というと、優しい淡い色彩の中で、静かに微笑む子どもたちという印象で、
ちひろさん自身がそんな体験をしてきたとは思いもよらなかった。

ちひろさん自身も語っている。
「私の描く子どもは、いつも、夢のようなあまさが、ただようのです。
実際、私には、どんなどろだらけの子どもでも、ボロをまとっている子どもでも、
夢をもった美しい子どもに、見えてしまうのです。」
「”みんな仲間よ”私は自分の心にいいきかせて、なつかしい、やさしい、
人の心のふる里をさがします。絵本の中にそれがちゃんとしまってあるのです」
戦争の恐ろしさを描き続けるのではなく、平和な美しい世界を描くことで
人々に平和について気付かせてくれる。
ちひろさんは54歳という若さで亡くなったが、それから約50年近くが経ち
ちひろさんの絵が独り立ちして、皆んなに語りかけてくれているような印象を受けた。